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最終更新日:2010年6月17日(木)


ダニ媒介脳炎


ダニ媒介脳炎について

 ダニ媒介脳炎は、1993年に国内で初めて渡島保健所管内で患者が確認されておりおります。
 その後、国内では患者が発生していないなど希な感染症です。
 しかしながら、患者発生以降継続的に疫学調査が続けられ、野生げっ歯類(ネズミ、リス等)、マダニ等からダニ媒介脳炎ウイルスが分離さ
れており、2008年にも野生げっ歯類(ネズミ、リス等)から、ダニ媒介脳炎ウイルスが分離されております。
 次のQ&Aによりダニ媒介脳炎について理解を深め、予防に取り組むようお願いします。




ダニ媒介脳炎に関するQ&A

〈ダニ媒介脳炎とは〉
Q1 ダニ媒介脳炎とはどのような病気ですか
Q2 どのようにして感染するのですか
Q3 どのような症状がでますか

〈予防対策について〉
Q4 感染しないために、どのようなことに注意すればよいですか

〈国内及び世界の発生状況〉
Q5 日本での発生状況は
Q6 世界での発生状況は

〈医療従事者の方へ〉
Q7 診断方法は
Q8 ダニ媒介脳炎の検査は、どこでできますか?
Q9 治療方法はありますか
Q10相談窓口を教えてください

 

 

 

Q1  ダニ媒介脳炎とはどのような病気ですか?

A1  ダニ媒介脳炎は日本ではあまり知られておりませんが、世界では決してまれな病気では
  ありません。
    ダニ媒介脳炎にはいくつかの種類があり、その主なものとして、ロシア春夏脳炎、中央ヨ
  ーロッパ型ダニ脳炎があり、流行地では、この病気にかかるリスクの高い方(野外で活動す
  る機会の多い方など)に対してワクチンの接種が行われることもあります。
    病原体は、日本脳炎と同じ分類(属)のフラビウイルスで、げっ歯類とマダニの間でウイル
     スが維持されています。

 

Q2  どのようにして感染するのですか?

A2  ウイルスを保有するマダニに刺咬されることによって感染します。
    逆に言えば、ウイルスを保有したマダニがいない地域では感染がおきません。
    また、感染した山羊や羊等の未殺菌の乳を飲んで感染することもあるとされています。
    通常、人から人に直接感染することはありません。
    なお、一般的に、マダニは、沢に沿った斜面や笹原、牧草地などに生息し、家の中や人の
   管理の行き届いた場所にはほとんど生息していません。

 

Q3  どのような症状になるのですか?

A3  潜伏期間は、通常7~14日です。
    中央ヨーロッパ型脳炎では、発熱、筋肉痛などのインフルエンザ様症状が出現し、2~4
  日間続きます。そのうちの3分の1は、髄膜脳炎に進展し、痙攣(けいれん)、目眩(めま
  い)、知覚以上などがみられます。
    ロシア春夏脳炎では、高度の頭痛、発熱、悪心などの後、髄膜脳炎に進展します。
    発症した場合の致死率は、中央ヨーロッパ型脳炎では1~2%、ロシア春夏脳炎は20%
  といわれており、回復しても数割の方で神経学的後遺症が見られます。

 

Q4  感染しないために、どのようなことに注意すれば良いですか?

A4  病原体を保有するマダニに咬まれないようにすることが最も重要です。
    したがって、流行地域など、病原体の存在が知られている地域において、A2にあるよう
  に、草の茂ったマダニの生息する場所に入る場合には、長袖、長ズボンを着用し、サンダル
  のような肌を露出するようなものは履かないことが大事です。
    忌避剤の併用も効果が期待されます。
  さらに、野外活動後は入浴し、マダニに刺されていないか確認すること、マダニの咬着が認 
   められた場合は、皮膚科などでマダニの頭部が残らないように除去してもらうことも重要で 
   す。
        また、ダニ媒介脳炎の流行国では、マダニが生息する森林地帯に入るなど、感染の危険
    性のある方に対して、不活化ワクチン(わが国では未承認)の接種が行われることもありま
    す。
       日本から流行地に行って野外活動を予定されている場合は、全国の検疫所で渡航前の健
    康相談を行っておりますので、ご利用ください。
        また、帰国後に発熱などの症状がある場合は、検疫所の検疫官にご相談ください。

 

Q5  日本での発生状況は?

A5  日本国内では、平成5年(1993年)に北海道の酪農家の方の1名の患者発生報告があ
  るのみです。この患者さんの発生があった地域では、マダニから原因となるウイルスが分離 
  されています。

 

Q6  世界の発生状況は?

A6  世界では、ダニ媒介脳炎の患者は、毎年、6,000人以上発生し、多い年には1万人前後発
  生しています。中央ヨーロッパ及び東ヨーロッパの多くの国々で流行しています。
     なお、平成13年(2001年)に、オーストリアに滞在した日本人が滞在中に田舎で感染し
    てお亡くなりになった事例も報告されています。
             (http://idsc.nih.go.jp/idwr/kanja/idwr/idwr2002-03.pdf)

 

Q7  診断方法は?

A7  本疾患に特有の症状等は無く、検査診断のためには、病原体診断が必要です。
    病原体診断については、患者の血液や髄液からのダニ媒介脳炎ウイルスの分離・同定、
  ウイルス遺伝子の検出、ダニ媒介脳炎ウイルス特異的抗体の検出、あるいは、ペア血清を
  用いた中和試験に抗体陽転又は抗体価の有意の上昇により確認します。
    なお、抗体検査においては、日本脳炎の影響も考慮する必要があります。

 

Q8  ダニ媒介脳炎の検査は、どこできますか?

A8  患者の症状や所見等からダニ媒介脳炎を疑う場合には、保健所を通じて国立感染症研
  究所に検査を依頼することが出来ます。
    依頼の際には、流行地域等への訪問・居住歴、日本脳炎の予防接種歴に関する情報も
  併せて提供されるようお願いいたします。
    なお、ダニ媒介脳炎は、感染症法において四類感染症に指定されておりますので、ダニ
  媒介脳炎を診断した場合は、速やかに保健所へ届出を行ってください。

 

Q9  治療法はありますか?

A9  ダニ媒介脳炎に特異的な治療方法はありません。
    なお、海外では、ガンマブログリン製剤が使用されることがあります。

 

Q10 相談窓口を教えてください。

A10 国立感染症研究所ウイルス第一部第二室(電話:03-5285-1111(内線)2526、
  FAX:03-5285-1188)にお問い合わせください。

 

〈参考文献&リンク〉
感染症の話 ダニ媒介性脳炎
http://idsc.nih.go.jp/idwr/kansen/k02_g1/k02_04/k02_04.html

ダニ媒介性脳炎の国内外での状況
http://www.hdkkk.net/topics/ence0101.html

〈Q&Aを作成するにあたって御協力を頂いた専門家〉
  刈和宏明先生(北海道大学大学院獣医学研究科
  高崎智彦先生(国立感染症研究所ウイルス第一部)
  安藤秀二先生(国立感染症研究所ウイルス第一部)