森を守ることが「森づくり」の第一歩

 

 

森を守ることが「森づくり」の第一歩


 

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 森を守ることが「森づくり」の第一歩 

1 森林の働きを守る法律
保安林とは
 
「保安林」というのは、私たちの暮らしを守るために、森林法に基づき国や都道府県によって、特別に管理されている、正に公益的な森林です。
保安林の役割
 
私たちが安全で快適な暮らしができるのは、水の確保や調節をして、土砂崩れの防止など森林の果たす働きがあるからです。このような森林のうち、特に重要な役割を果たす森林を「保安林」に指定し、その働きが失われないように森林の伐採を制限したり、必要な手を加えて維持管理をしています。

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保安林の種類
 保安林はその目的によって17種類あり、それぞれに役割があります。函館経営区内の保安林の特徴は、次のとおりです。
  1. 水源かん養保安林
     水源となる地域に降った雨水を蓄え、ゆっくりと川に流し、水の確保や洪水、渇水を防止する働きがあります。具体的には、函館市の場合、上水道水の86.7%が道有林からの水を利用しているものと推定されます。
  2. 土砂流出防備保安林・土砂崩壊防備保安林
     土砂の流出、森林の崩壊による土石流などを防ぎ、住宅や鉄道、道路などを災害から守ります。
  3. 魚つき保安林
     水面に陰を作ったり、流れ込む水の汚れを防いだり、養分の豊かな水を供給して、魚の繁殖・生息を助けます。

 道有林函館経営区には、これらの他に空気の浄化や騒音緩和といった生活環境を守る「保健保安林」、田畑の塩害を防ぐ「潮害防備保安林」、崖地からの落石を止めたり岩石を安定させて被害を防ぐ「落石防備保安林」などがあり、地域の生活や産業活動に役立っています。

保安林の解除
 指定されている保安林の一部を道路用や公園用など公共的な別の役割に変えるため必要があるときなどは、保安林からはずす(解除)手続きをすることがあります。
2 鳥獣保護区・道立自然公園・自然景観保護地区
 道有林函館経営区内で、保安林以外に法律で森林の働きを守っているものには、次のようなものがあります。
名  称 目 的 ・ 内 容 森林機能との関わり 法 律 ・ 条 例
大沼鳥獣保護区

黒井川鳥獣保護区
 鳥獣の保護・繁殖などのため、設定された区域。この区域内では、鳥獣の捕獲は禁止。更に、繁殖などに重大な影響がある場合は、特別保護地区を指定して、様々な行動を制限する。  制限が加わることにより、森林の生態系が保たれ、森林の持つ公益的な働きが、より効率的に発揮される。 鳥獣保護及狩猟ニ関スル法律
恵山道立自然公園  道内の優れた自然の風景地を指定し、保護・利用及び制限を行う。 自然公園法道立自然公園条例
横津岳自然景観保護地区

袴腰自然景観保護地区
 森林、山岳、湖沼などの森林、山岳、湖沼などの'して保護を必要とする地域を指定し、各種行動を制限して、自然景観を維持する。 自然環境保全法北海道自然環境等保全条例

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3 不法な行為による被害から森林を守る
 森林司法警察職員は、林木の盗伐や放火など森林やその産物を対象にして起こされた不法行為に限って、捜査活動を行うことができ、森林を管理するための基本となります。 
司法警察職員 
 
司法警察職員は「一般司法警察職員」と「特別司法警察職員」に分けられ、一眼司法警察職員は、いわゆる「警察官」であり、森林司法警察職員は「特別司法警察職員」に属します。
指定される者
 
北海道の場合、出先機関である「森づくりセンター」の所長と次長、更に「道立林業試験場」の場長と総務課長が、特別司法警察職員に指定されています。
法律
 
関係する法律は次のとおりです。
(ア)森林司法警察職員を指定する法律
         司法警察官吏及司法警察官吏ノ職務ヲ行フヘキ者ノ指定二関スル件
         司法警察職員指定応急措置法 
(イ)罰則の基本となる法律 
         刑法 
(ウ)森林の中での犯罪について罰則を定めた法律
         森林法
罰則
 
上記のとおり、森林内での犯罪に対する罰則は、本来の刑法を補う形で「森林法」に定められています。これは森林での不法行為が特殊なため、特別な扱いとなっているからです。
 特に保安林の中で発生した不法行為の場合は、保安林以外の森林での場合よりも刑が重くなります。このことからも、保安林が重要視されていることがわかります。
 そのほか森林に放火や延焼した場合は、一般家庭の火災よりも罪が重くなります。これは林野火災の場合、消火が困難で被害が大きくなる危険が高いからです。 
 これらの犯罪は、すべて懲役刑か罰金刑に処せられますが、「誤って」他人の森林を焼いてしまった場合には、罰金刑になります。(懲役刑にはなりません。) 
発生状況と課題
 
森林犯罪のうち森林窃盗は、道有林全体で昭和38年の6件を最高に昭和41年から減少しており、平成4年からは森林窃盗事件は発生していません。当センター管内では、森林の見回りや注意看板で、被害の予防に努めています。
最近の不法行為の傾向は、盗伐などの森林窃盗や放火に代わってゴミの不法投棄が目立ちます。これも森林法に違反する行為であり、無断で「土地の形質を変えた」ことに該当し、50万円以下の罰金になります。
4 火災から森林を守る
火災の影響
 
森林は保安林をはじめ様々な手段によって守られ、わたしたちに安全で快適な暮らしを提供してくれます。
 しかし、森林で火災が発生すると、それまでの長い年月をかけて育った樹木などが焼失してしまうだけでなく、水を蓄えておくカや土砂崩れを防ぐカがなくなって、森林本来の公益的な働きが破壊されてしまいます。
 このため水害や土砂による災害の発生につながるなど、わたしたちの暮らしに大さな影響を及ぼすことが予想されます。
主な原因
 
森林火災が発生する原因は「落雷」を除くと、すべて人によるもので「タバコ」・「たき火」・「火遊び」が主なものと考えられますが、現実には発生の瞬間を見ていることは皆無で、「原因不明」となることがほとんどです。
予防・消防対策
 
当センターは、渡島地区対策協議会や各市町と協力しあうとともに、自ら道有林野を守るため、独自に予防対策を行っています。
 空気が乾燥し、火災発生しやすい4~6月を「危険期間」として予防の重点をおいています。
具体的な予防・消防対策
  1. 市町の広報誌や新聞広告で、一般市民への広報を行う。
  2. 函館経営区を4ブロックに分けて危険なところを重点的に見回り、入林者に「火気の取扱い」などに、注意を呼びかける。
  3. 市街地や森林の近くの集落に「山火事注意」旗を掲揚し、ポスターを掲示する。
  4. 職員が「山火事注意」腕章を着用し、業務の機会ごとに入林者や住民に予防についての意識を広める。
  5. 消防器具の点検や消防訓練に努め、火災発生時に”より早く、適切に”出動できる体制づくりを行う。
  6. 大規模な火災に発展したときは、ヘリコプターによる「空中消火」を行う可能性がある。
発生状況
 
当センター管内では過去20年間において、昭和60年と平成9年にあわせて2件発生し、早期発見と初期消火により小規模の被害にとどまっています。

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