南北海道注目の食トピックス【農産】
1.王様しいたけ、くりりんかぼちゃ、神トマト・・・続々誕生するブランド野菜

生産者のこだわりが生み出す「指名買い」される一級品たち
南北海道は、比較的温暖な気候と肥沃な大地、そして豊かな水資源に恵まれた地域である。しかし、道内の他地域に比べ農地面積が狭いため、独自の優位性を活かした生産が行われてきた中で、近年は質への追求がさらに加速している。
例えば、森の環境を再現し、時間をかけて肉厚に育てられた七飯町の「王様しいたけ」。微生物にとって最適な土壌をつくることで実現した、糖度20度超えの森町の「有機かぼちゃくりりん」。水や肥料の質にこだわり一本ずつ量を調整することで、圧倒的な果肉感とフルーティな味わいを表現した北斗市の「神トマト」。土地本来の力を引き出し、農薬や化学肥料を一切使用せずに育てた、ひっかかりのない素直な甘みと嫌味のないえぐみが特徴である厚沢部町の「長谷川博紀のアスパラ」。ブランド野菜が次々に誕生している。
料理人などからも指名買いされるこれらの農産物は、一口味わうごとに、生産者の笑顔や北の大地が持つ力強い生命力を伝え、食卓に小さな驚きと至福のひとときを届けている。
南北海道ブランド野菜誕生の舞台裏
南北海道で唯一無二のブランド野菜が次々と誕生している背景には、海と山の近さという理由が存在する。
まず一つ目は、非常に複雑な環境条件だ。太平洋、日本海、津軽海峡に囲まれ、海と山が近接する地形は、海風と山々の影響による寒暖差を作り出す。また、豊かな水資源と多様な土壌の個性は、画一的ではない多種多様な野菜を育むことを可能にしている。さらに、平地が限られているため、大量生産ではなく品質を追求した付加価値を高める栽培が行われており、例えば海と山が近いことで、漁業の副産物を農業に還元する知恵が伝統的に行われてきた。
二つ目は、「ただ作るだけでなく、価値を伝えたい」という生産者たちの情熱だ。気候や土壌の特性を見極め、時には何年もかけて土作りを繰り返し、最新の知見や技術と伝統的な職人技を融合させ、生産過程のストーリーと共に届ける。料理人や美食家の声にも耳を傾け、手間を惜しまない姿勢が数多くのブランド野菜の誕生につながっており、そこには単なる味覚を超えた、この土地ならではの豊かさが詰まっている。
2.食と観光の発信拠点 南北海道に広がる個性豊かな道の駅

「農」を味わい尽くす ランキング上位常連の二大拠点
北海道内に120以上存在する道の駅。その満足度ランキングにおいて、上位の常連であるのが「みそぎの郷きこない」と「なないろ・ななえ」だ。この2駅が支持される最大の理由は、単なる物販の枠を超え、地域の農畜産物の魅力を最大限に引き出す圧倒的なプロデュース力にある。幾度も満足度1位に輝く木古内町の「みそぎの郷きこない」には、生産者の情熱が詰まった農畜産物が並ぶだけでなく、人気の「はこだて和牛コロッケ」や「みそぎの塩」を使ったソフトクリーム、行列のできる「塩パン」など、地元の素材を活かした加工品が充実している。また、レストラン「どうなんde’s」では、ブランド牛「はこだて和牛」や季節野菜を本格イタリアンへと昇華させ、土地が育む豊かなテロワールを伝えている。
一方の「なないろ・ななえ」は、南北海道を代表する農業地帯としての七飯町の魅力を五感で伝えている。館内の直売所には、季節になると朝採れの新鮮なリンゴが並び、その甘酸っぱい香りが来場者を迎える。さらに、リンゴを贅沢に使ったスイーツや地元野菜をふんだんに使用した惣菜など、農業の魅力を「すぐ食べられる形」に変えて提供している。また、隣接する「THE DANSHAKU LOUNGE」と連携して男爵いもの歴史発信やジャガイモの品種ごとの特性を活かしたポテト料理を提供するなど、農産物が持つ「開拓の歴史を味わう」という新たな付加価値を生んでいる。
「食と絶景を巡る至福のルート」五感を魅了する道の駅
他にも個性豊かな道の駅が点在する。太平洋側には、国宝・中空土偶のある「縄文ロマン南かやべ」、蒸し釜体験や足湯が楽しめる「しかべ間歇泉公園」、山海望む絶景「なとわ・えさん」「つど~る・プラザ・さわら」「YOU・遊・もり」が揃う。津軽海峡には新幹線展望台とブランド食材の「しりうち」、二大横綱の歴史を刻む「横綱の里ふくしま」、本マグロが食べられる「北前船 松前」が並ぶ。檜山地方では、メークインと旬の野菜の「あっさぶ」、地元食材を楽しむ展望レストランがある「上ノ国もんじゅ」、日本海の絶景を堪能できる「ルート229元和台」「てっくいランド大成」が個性を放ち、江差では新たな道の駅「かもめ島(仮称)」の建設が予定されている。15駅すべてが、南北海道の食と観光を彩る欠かせない存在になっている。



